新婚旅行 11 日目「地上最後の 1 匹」

午前中はチャールズ・ダーウィン研究所 (Charles Darwin Research Station) を見学。ここはガラパゴス諸島の動植物の研究をしているのだが、主にはカメの保護・繁殖をしている。

カメの卵を取ってきて孵化させ育てる。ある程度成長したら元いた島に帰している。小さいときは甲羅が柔らかいのでネズミに食べられてしまう。1, 2 歳の間は島ごとに区別されたケージに入れられ、3 歳から全員が同じケージに移されて育てられる。そして甲羅が硬くなる 4, 5 歳まで育ててあげて各島へと帰っていく。

爬虫類に多く見られる特徴だが、ゾウガメの卵を温める温度によってオスメスを産み分けることができる。28 度より低いとオスが生まれ、高いとメスが生まれてくる。自然界では地中の浅いところに埋まっている卵は太陽熱で温度が高くなりメスが生まれてくる。深いところに埋まっている卵からはオスが生まれてくる。
ここでは繁殖のためにオス:メスを 1:2 の割合で孵化させている。

ガラパゴス諸島にはかつて 14 種類のカメがいたのだが、現在では 11 種類になってしまっている。3 種類のカメは海賊・捕鯨船の食料となったり、外来種によって絶滅してしまった。かつて人がガラパゴス諸島に来る前は 100 万頭いたものが 1 万 5 先頭にまで減少してしまったが、今では国立公園化したこととダーウィン研究所の努力で 3 万頭まで戻ってきた。


研究所にはロンサムジョージ (Lonesome George) と呼ばれるオスのゾウガメがいる。彼はピンタゾウガメの最後の 1 頭である。1960 年には 1 度絶滅したと考えられていた種であったが、1972 年にカブトガニの研究のためピンタ島に行った人が偶然ロンサムジョージを発見して写真を撮影してきた。その写真を確認した研究所の職員が 2 ヵ月後にピンタ島を訪問しロンサムジョージを確認、保護して研究所に連れてきた。

その後、世界中の動物園を探してもメスのピンタゾウガメはおらず、今は 2 頭のメスを同じケージに入れて同種のメスが見つかったときのために交尾の準備をしている。最初はエスパニョーラ島の 2 頭、その後はピンタ島と同様に火山活動中の島であるイザベラ島の 2 頭と同居している。
しかしロンサムジョージが交尾をすることはなく、スイス人の繁殖が専門の学者が訪問して 3 ヶ月努力してもダメだった。電気ショックやマスターベーション精子を取り出す、交尾の映像を見せるなど様々な努力をしたのだが未だに交尾はしていない。
最後の 1 頭となってしまったロンサムジョージは何を考えているのだろうか。何か悟っているような顔をしていた。


ガラパゴス諸島のゾウガメは甲羅の形でサドル型とクラ型の 2 種類に分けることができる。サドル型は高いところにある食料を取るために首を上に伸ばせるようになっている。ロンサムジョージはサドル型の甲羅を持っている。ガラパゴス諸島初日に農場で見たゾウガメは主食が足元に生えている草なので首を上に伸ばす必要はなくクラ型の甲羅をしていた。


一方でスーパーディエゴと呼ばれるエスパニョーラ島のゾウカメもいる。このカメは繁殖のためにサンディエゴ動物園から連れてきた 14 頭 (オス 12 頭, メス 2 頭) の中の 1 匹であり、これまで 1500 匹の子ガメを生んだ。


こちらはお食事中のゾウガメ。近くで見るとモシャモシャ激しく食べているのが分かる。


チャールズ・ダーウィン研究所を後にして再びバルトラ島へ。ここから日本に向けて帰国の途が始まる。
まずはグアヤキル経由でリマへ。リマで 5 時間待っている間に本日も終了。日本はまだまだ遠い。